『COWBOY BEBOP 天国の扉』のあらすじ、ネタバレ、感想と考察などをまとめています。『天国の扉』はカウボーイ・ビバップの劇場版で、時系列としてはアニメ22話と23話の間に位置するエピソードとなります(アニメは全26話です)。アニメを見ていないと映画を楽しめないということはありませんし、時系列に沿ってみなけらばならないということも全くありませんので、映画だけでも十分楽しめる内容となっています。
あらすじ
火星にあるアルバシティーの高速道路で爆発事故が発生。警察はバイオテロを疑い、犯人とおぼしきヴィンセントに巨額の懸賞金をかける。
ビバップ号の極貧クルー達は、いつものように、それぞれ勝手に犯人捜しを始める。スパイクは製薬会社に潜入し、エレクトラという女性と遭遇する。彼女の腕にはヴィンセントと同じ刺青があるようだった。一方、フェイが別件で追っていたハッカーには、ヴィンセントとの関係があるようだった。
概要
冒頭に登場した説教強盗(名前はレンジィ)は雑魚なので、とっ捕まえても賞金は安く、結局、ビバップ号は貧乏のままです。とはいっても、彼らが貧乏を脱することはないわけでして、だいたいどのエピソードでもビンボーというのが、彼らの原動力になっている気がします。
この映画の標的は賞金三億ウーロン(三億円)の謎の人物で、のちに、ヴィンセント・ボラージュであることが判明します。謎の人物は他にも登場し、特に、スパイクに壺を渡したラシード、そして、製薬会社のエレクトラが重要な人物となります。
ネタバレ
フェイが巻き込まれた最初の爆発では、ナノマシン兵器が拡散されており、これはリンパ球になりすまして人間の脳を破壊する生物兵器でした。犯人はヴィンセント・ボラージュで、彼は戦争で死亡したことになっていましたが、実は、ナノマシン兵器の実験台にされていました。ヴィンセント以外にも実験台はいたようですが、後遺症によって記憶を失ったものの、ヴィンセントだけが生き残りました。そして、今回、復讐のために大規模なテロを起こそうとしました。
製薬会社のエレクトラ・オヴィロゥはヴィンセントと同じ火星軍特殊部隊に所属しており、ヴィンセントの恋人でした。記憶を失っていたヴィンセントはかつての恋人エレクトラを憶えていませんでしたが、最後の最後に恋人のことを思い出します。しかし、共に死ぬことを覚悟していたエレクトラに撃たれ、そのまま息を引き取ります。なお、ナノマシンを開発したのはスパイクに壺を渡したラシード(本名メンデロ・アル・ヘディア)で、彼はスパイクにぶっ飛ばされます。
スパイクとの決戦の最中、ヴィンセントはパンプキン・ヘッドを爆発させてナノマシン兵器をバラまこうとします。しかし、雨(ワクチン;カウンターナノマシン)が降っていたため、感染は阻止されました。これに対してジェットは「ナノマシンが広がるより早く感染して広がり、恵みの雨になっているはず」と語っています。
タイムライン
作中の出来事をタイムラインで簡単にまとめます。
- 序盤レンジィ登場からのOP
爆発発生、フェイが巻き込まれる
爆発事件の犯人に火星政府が3億ウーロンの賞金をかける
スパイクがラシードに遭遇しピッタリの壺を受け取る
リー・サムソンと謎の長身男登場
ジェットがかつての同僚から製薬会社の情報を手に入れる
壺から謎のカプセルがみつかる
エドが刺青からヴィンセント・ボラージュへとたどり着く
フェイがリーのもとへ
- 中盤スパイクが清掃員に変装して製薬会社へ
エレクトラ・オヴィロゥ登場
賞金首(実行犯はリー)が声明文を出す
エドとアインが帽子を頼りにリーを見つけ出しフェイに連絡する
アジトでヴィンセントが銃でカプセルを撃ち、そばにいたリーがナノマシンに感染する
直後にアジトを訪れたフェイも意識不明となる
ヴィンセントがフェイに口づけ
ヴィンセントを探していたエレクトラが仲間の連絡を受けてヴィンセントを追う
エレクトラを盗聴していたスパイクが動き出す
モノレールでスパイク、ヴィンセント、エレクトラの戦闘
スパイクが撃たれて海へ
ヴィンセントが手りゅう弾で先頭車両を爆破
乗客が苦しむが残ったエレクトラはナノマシンの効かない様子だった
スパイクが救出される
- 終盤ビバップ号にスパイクが戻る
スパイクがラシードと再会
ラシードはナノマシンの開発者だった
スパイクとエレクトラが製薬会社に捕まる
ヴィンセントの血にはカウンターナノマシーンが仕込まれている
フェイがアジトで目を覚ましヴィンセントと会話する
スパイクとエレクトラが脱走しワクチンを奪う
スパイクとエレクトラがビバップ号へワクチンを持ち込む
スパイクがソードフィッシュでヴィンセントを探す
ソードフィッシュの空中戦
ジェットが航空機を借りる
フェイは気象コントロールセンターへ
ハロウィン・パレード
鉄塔でヴィンセントとスパイクが対峙する
スパイクとヴィンセントの決戦「そいつはただ、独りぼっちだっただけだ………。奴は夢の中に生きているそんな男だった」
ARE YOU LIVING IN THE
REAL WORLD?
考察と感想
“カウボーイビバップ”は、幼くて未熟な主人公というが存在せず、どのキャラもほぼ成熟しています。スパイク、フェイ、ジェットはもちろんですが、可愛らしくみえるエドもアインも、既にどこかに到達しているようなキャラです。こういったキャラは伸びしろがないともいえるわけですが、この伸びきったキャラが他のアニメにはない珍しい要素ではないかと思います。アニメシリーズの方はまた違ってくるわけですが、こと映画においては、確立した人格というキャラが全面に押し出されているように思います。おそらく、こういった子供ぽっくないキャラというのが、海外でも人気の理由だと考えられます。
私の眉唾な考察はさておき、音楽が耳に残るのは間違いないと思います。私が好きな曲はソードフィッシュと暇な軍隊の空中戦で流れた「What planet is this?!」ですが、他にもハロウィン・パレードのバックで流れていた「Yo pumpkin head」、スパイクとヴィンセントの決戦で流れた「Fingers」も好きです。
名言
“天国の扉”に登場した名言をまとめます。
シチュー
シチューの素がなきゃシチューじゃない
――とんだ説教強盗だぜ
説教強盗ことレンジィの名言。コンビニに強盗に入って店員のお姉さんに説教をたれるという彼には名言が多い。面白いだろ?、笑えよ、ははは、面白だろ、にはははは、ははは、笑いごとじゃねぇんだ!という無茶苦茶な会話も繰り広げている。
欺く
三人って言ったよな?
敵を欺くにはまず味方から
欺いてどうすんだよ!
コンビニでの名言。「敵を欺くには味方から」は格言の一つであるが、この場面では、ジェットの言い訳になっている。
賞金稼ぎ
カウボーイだって?あんた、一体ナニモンだい!?
――ただの賞金稼ぎさ
オープニングに入る直前のスパイクの台詞。人質になった婆さんが何者だと尋ねたあと、スパイクが拳銃をカウボーイのようにくるくる回して、「賞金稼ぎさ」と台詞を吐く。
バイキンマン
えんがちょっ、ばいきんまーん
何よそれ!
フェイがバイオテロの現場にいたと発覚し、そばにいたビバップクルーがフェイから遠ざかろうとする。アインもちゃんと逃げている(賢い)。「えんがちょ」と言ったのはエドと、“千と千尋”の釜爺くらいである。
足
私が行くまで手は出さないで
足は出すぜぃ
ヴィンセントを見つけ出した仲間にエレクトラが言った言葉に、盗聴していたスパイクが付け加えた言葉。手は出さないが足は出す、という揚げ足取りに違いない。
みんなの感想
口コミを調べてみると『かっこいい』という言葉がよく書き込まれていました。とにかくかっこいい!と感じている方が多いようです。
作画かっこいい。スパイクかっこいい。音楽かっこいい。兎に角かっこいい。
かっこいい。セリフ、演出、アクション全部かっこいいわ。最高にハードボイルド。何回見ても飽きねー面白さ。センスの塊。
最初から最後までおしゃれかっこいい。
くどいほどにかっこよくて、口をひらけばかっこいいこと言ってる。
バトルシーン、肉弾戦も飛行戦もめちゃくちゃかっこいいし相変わらずいちいちお洒落