『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(きどうせんしガンダム ジークアクス)』は、2025年4月から6月まで日本テレビ系列で放送された日本のテレビアニメ作品です。テレビ放送に先立ち、2025年1月17日からは一部エピソードを再編集した劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』も公開されました。
あらすじ(ネタバレ注意)
劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』
宇宙世紀0079年、一年戦争の最中、ジオン公国軍のエースパイロットであるシャア・アズナブルは、地球連邦軍の新型モビルスーツ「ガンダム」とその母艦「ペガサス」を鹵獲する。ガンダムの技術を取り入れたジオンのMS開発は飛躍的に進展し、シャアはニュータイプとしての素質を開花させ、サイコミュとビットを搭載した「赤いガンダム」を駆り、シャリア・ブルと共に「M.A.V.」戦術を確立する。
第二次ソロモン会戦中、シャアはザビ家への復讐のため、ソロモンを月面都市グラナダに落下させる作戦を故意に失敗させようとするが、突如〈ゼクノヴァ〉と呼ばれる超常現象が発生する。ゼクノヴァによりソロモンの3分の1が消失し、落下は阻止されるが、シャアのガンダムも行方不明となる。
以降、地球連邦政府は休戦を打診し、独立戦争はジオン側の勝利で終結することになる。
テレビシリーズ(U.C.0085)
ジオン独立戦争終結から5年後の宇宙世紀0085年。サイド6のイズマ・コロニーに暮らす女子高生マチュ(アマテ・ユズリハ)は、偶然手に入れた非合法のMS用インストーラデバイスをきっかけに、戦争難民の少女ニャアン、そして謎の少年シュウジ・イトウと出会う。
同じ頃、シャアの捜索任務にあたっていたシャリア・ブルは最新鋭MS「GQuuuuuuX」を投入。その機体をマチュが奪取し、非合法の決闘競技・クランバトルに身を投じることになる。
その後、マチュたちは地球連邦軍のバスク・オムによるキシリア暗殺計画に巻き込まれ、シュウジは再びゼクノヴァ現象によって姿を消す。マチュは地球に降り立ち、ララァ・スンと出会い、物語の鍵となる〈シャロンの薔薇〉の存在を知る。一方、ニャアンはキシリアに見出され、GQuuuuuuXの2号機「GFreD(ジフレド)」のパイロットとなる。
最終局面で、シャアがシロウズという偽名でイオマグヌッソの開発に関わっていたことが判明する。その真の目的はシャロンの薔薇を元の世界に戻すことだった。
対してシュウジは〈向こう側の世界〉から現れ、ララァの苦しみを終わらせるために、このマチュ達の世界線を消滅させようとしていた。オリジナルのガンダムを召喚して薔薇に襲いかかるシュウジと、それを阻止しようとするマチュ。
一方、シャアはキシリアを討ち、そしてシャアの妹であるアルテイシアを擁立せんとするシャリア・ブルと激突することになる。
マチュとニャアンは和解し、共闘して巨大化したシュウジのガンダムを退ける。薔薇のララァは目覚め、シュウジと共に元の世界へと帰っていく。シャアもシャリア・ブルも生き残り、戦後、ジオンはアルテイシアを盟主として新たな道を歩み始める。シャアはジークアクス世界のララァと再会し、マチュとニャアンは地球の海岸でバカンス。マチュは、またシュウジに会えると信じているようだった――。
登場人物
- アマテ・ユズリハ(マチュ)
本作の主人公。GQuuuuuuXのパイロット。声 – 黒沢ともよ - ニャアン
戦争難民の少女。GFreDのパイロット。声 – 石川由依 - シュウジ・イトウ
赤いガンダムのパイロット。声 – 土屋神葉 - シャア・アズナブル / シロウズ
ジオンのエースパイロット。赤いガンダムを駆る。声 – 新祐樹(U.C.0079時)、池田秀一(向こう側の世界) - シャリア・ブル
ジオンのニュータイプパイロット。シャアの相棒。声 – 川田紳司 - キシリア・ザビ
ジオン公国軍突撃機動軍司令。声 – 名塚佳織 - ララァ・スン
地球の娼館にいる女性。声 – 羊宮妃那(ジークアクス世界)、潘恵子(向こう側の世界) - エグザべ・オリベ
ジオンのパイロット。声 – 山下誠一郎 - コモリ・ハーコート
ジオンの士官。声 – 藤田茜 - バスク・オム
地球連邦軍将校。声 – 安元洋貴 - ドゥー・ムラサメ
ムラサメ研究所所属のニュータイプ。サイコ・ガンダムのパイロット。声 – 金元寿子 - ゲーツ・キャパ
オーガスタ研究所所属のニュータイプ。ハンブラビのパイロット。声 – 村瀬歩
登場兵器
- gMS-Ω GQuuuuuuX(ジークアクス)
ジオンの最新鋭試作MS。マチュが搭乗 - gMS-κ GFreD(ジフレド)
ジークアクスの2号機。ニャアンが搭乗 - RX-78-02 白いガンダム
連邦軍が開発した高汎用型MS。シャアに鹵獲される - gMS-α 赤いガンダム
シャア専用に改修されたガンダム。後にシュウジが搭乗 - MS-06 ザク
ジオン公国軍の量産型MS。軍警仕様も存在 - gMS-01 ゲルググ
ジオンの制式採用機。ガンダムのデータをもとに開発 - MS-09 リック・ドム
ドムの宇宙改装型。3本脚が特徴 - MS-15/H ギャン(ハクジ装備)
白兵戦用MSギャンの強化型 - MAN-03 キケロガ
シャリア・ブルが搭乗するサイコミュ搭載型MA。MS形態に変形可能 - MA-08 ビグ・ザム
対要塞攻略用の大型MA - MRX-010 サイコ・ガンダム
ムラサメ研究所製のサイコミュ搭載型可変MA - ORX-139 ハンブラビ
オーガスタ研究所製の試作型可変MS - シャロンの薔薇 / エルメス
「向こう側の世界」から来たMA。ララァ・スンが時間凍結されている - RX-78-2 ガンダム
「向こう側の世界」から来たMS。シュウジが搭乗し、質量を伴って巨大化する - MS-14S ゲルググ
「向こう側の世界」のシャアが搭乗していたMS - Gファイター
「向こう側の世界」の兵器
解説と考察
ファーストガンダムの一年戦争が〈正史(正典)〉だとすると、ジークアクスの世界は、異なる展開を迎えたいわゆるIFの世界が舞台となります。しかも、IFの世界は複数存在するらしく、そういった並行世界がゼクノヴァという現象によって繋がっていることも明らかになります。
並行世界の原因は、シャロンの薔薇の内部にいるララァです。ララァはシャアがアムロに殺されるという悲劇を回避するため、何度も世界をやり直していました。その結果生まれたのが、シャアがガンダムに乗るというジークアクスの世界線でした。
しかし、この世界でシャアがララァとの出会いを望まないことを知ったシュウジは、ララァの苦しみを終わらせるため、この世界を消滅させようとします。彼は「向こう側の世界」からオリジナルのガンダムを召喚し、ララァを殺すことでループを断ち切ろうとしたわけです。
GQuuuuuuXに搭載された「オメガ・サイコミュ」には、アムロ・レイの魂のようなものが宿っていることが示唆されます。最終話では、GQuuuuuuXがアムロ(古谷徹さん)の声で語りかけ、マチュを導きます。これは、アムロがマチュを操作キャラクターのように導いていた可能性を示唆しています。
感想
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』は、その予測不能な展開と情報量の多さに毎週驚かされました。制作陣の遊び心と、庵野秀明氏の嗜好が強く反映された作品だったようです。
戦闘シーンの迫力はもちろんですが、SF度の高いストーリーもかなりの魅力だったと思いますし、過去のガンダム作品へのオマージュやレジェンド声優陣の出演など、ファンサービスも満載でした。ガンダムファンの賛否両論はありつつも(だいたいこれはいつもある、特にガンダム)、ガンダムシリーズの新たな可能性を示した意欲作であり、歴史的な一作ともいえるのではないかと思います。過去作に対する妄想が膨らみますし、今後のシリーズ展開への期待も大いに高まる作品となりました。
物語は複雑な並行世界の設定を導入し、多くの謎を残したような気もします。しかしながら、主要キャラクターたちの成長は描き切られていたと思います。特に、主人公マチュとニャアンの絆はまさに戦友という感じでした。