アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」は2006年4月から7月、および、2009年4月から10月にかけて放送されました(2006年版と2009年版の違いは後述)。原作は谷川流氏の涼宮ハルヒシリーズで、ひろくライトノベルというジャンルに分類されますが、筒井康隆氏の解説などにより、SF作品としても認識されてもいます。この記事では、アニメのあらすじや感想などをまとめています。
あらすじ
宇宙人や異世界人や超能力者や地底人などなどの存在をいつしか信じなくなっていた平凡な男子高校生のキョンは、つつがなく県立北高校に入学する。何の疑いもなくというか、当然の流れというか、ごく一般的な慣習といった感じで、それぞれの自己紹介が行われ、これまたつづがなく終わるはずだった。が…、後ろに座る涼宮ハルヒとやらが、「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」と自己紹介して周囲をざわつかせるのだった。
簡単なまとめ
各エピソードをハイライトで簡単にまとめたいと思います。
- 01涼宮ハルヒの憂鬱Ⅰキョン入学
ハルヒの「ただの人間には興味ありません」
- 02涼宮ハルヒの憂鬱Ⅱパソコン接収事件
- 03涼宮ハルヒの憂鬱Ⅲ長門有希、朝比奈みくる、古泉一樹の告白
- 04涼宮ハルヒの憂鬱Ⅳキョン、襲われる
谷口の「わわわ忘れ物~」
- 05涼宮ハルヒの憂鬱Ⅴハルヒとキョンが朝倉涼子の謎の転校を調べる
閉鎖空間登場
- 06涼宮ハルヒの憂鬱Ⅵハルヒとキョンだけが閉鎖空間へ
- 07涼宮ハルヒの退屈SOS団と愉快な仲間達の野球
- 08笹の葉ラプソディ七夕の出来事
- 09ミステリックサインSOS団のロゴ事件
- 10孤島症候群・前編孤島で事件?
- 11孤島症候群・後編孤島でクローズド・サークル
- 12エンドレスエイト残り2週間となった夏休みを満喫するSOS団
- 13エンドレスエイト残り2週間となった夏休みを満喫するSOS団
ループ発覚
- 14エンドレスエイト残り2週間となった夏休みを満喫するSOS団
- 15エンドレスエイト残り2週間となった夏休みを満喫するSOS団
- 16エンドレスエイト残り2週間となった夏休みを満喫するSOS団…
- 17エンドレスエイト残り2週間となった夏休みを…以下略
- 18エンドレスエイト(略)
- 19エンドレスエイト残り2週間となった夏休みを満喫するSOS団
[苦行終了]
- 20涼宮ハルヒの溜息Ⅰ体育祭が終わり文化祭へと突入
SOS団による映画撮影が決定
- 21涼宮ハルヒの溜息Ⅱ商店街で撮影開始
- 22涼宮ハルヒの溜息Ⅲみくるビーム!
- 23涼宮ハルヒの溜息Ⅳ池での撮影などを経て鶴屋家へ
ハルヒのみくるに対する態度にキョンがキレる
落ち込んだハルヒにキョンが激励の言葉をかける
- 24涼宮ハルヒの溜息Ⅴハルヒの能力が暴走し現実に映画の世界が出現する
シャミセン(猫)登場
無事、現実が元通りになる
- 25朝比奈ミクルの冒険 Episode00溜息で撮影された映画の本編
- 26ライブアライブ文化祭当日
- 27射手座の日ゲームで対決
- 28サムデイ・イン・ザ・レインストーブ
2006年版と2009年版の違い
2009年版が完全版といえますので、2009年版だけをみれば、取りこぼしなどはありません。詳しく説明すると、2009年版は2006年版でアニメ化されていなかったエピソードが追加されています。そのため、2006年版は14話でしたが、2009年版は全28話となっています(話数が増えたのはエンドレスエイトの寄与によるものです)。2006年版は時系列がバラバラになっていますが、2009年版は主人公の入学から時系列順にエピソードが並んでいます。
登場人物
キョン(きょん)cv.杉田智和さん
主人公の男子高校生。本名不明。SOS団の団員であるが、ごく普通の高校生。ハルヒの自己紹介で“ただの人間ではない人間”として「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者」が挙げられているが、このうち、異世界人だけがSOS団に所属していないため、キョンは異世界人であるとも噂されている。
涼宮ハルヒ(すずみや・はるひ)cv.平野綾さん
ヒロイン。美人で運動も勉強も得意な女子高生、だが、奇行の目立つ変人でもある。そのため、中学はもちろん、高校でも浮いた存在となる。つまらない毎日に飽き飽きし、かなり尖っていたハルヒだが、キョンと出会い毎日を楽しむようになる。ちなみに、谷口とは中学が同じだった。
長門有希(ながと・ゆき)cv.茅原実里さん
文芸部の女子高生。無口。基本的に本を読んでいる。文芸部員だが成り行きでSOS団のメンバーとなる。その正体は宇宙人で、正式名称は“対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース”。呪文のようなものを唱え、超常現象のような能力を発揮する。入学当初は眼鏡をかけていたのだが、キョンの一言で着用をやめる。
朝比奈みくる(あさひな・みくる)cv.後藤邑子さん
キョンやハルヒの上級生(2年生)。ハルヒによって強制的にSOS団のメンバーとなる。ハルヒにいろいろなコスプレをさせられているが、概ね露出の多い感じになっている。正体は未来人なのだが、禁則事項から禁則事項で禁則事項した禁則事項であるため、詳細は不明である。みんみんミラクルみっくリンリン♪
古泉一樹(こいずみ・いつき)cv.小野大輔さん
謎の転校生。1年生にも関わらず、入学から2カ月も経たないうちに転入してきたため、ハルヒに捕まりSOS団のメンバーとなる。放課後は、キョンとよくボードゲームなどをして過ごしている。そんな古泉も実は超能力者であり、普通の人間ではない。ただし、閉鎖空間というハルヒが生み出した特殊な環境でないと超能力を発揮することはできない(但し例外もある)。
ストーリー
“涼宮ハルヒの憂鬱”など各エピソードのストーリーをまとめます。
涼宮ハルヒの憂鬱
キョンはごく普通の男子高校生だった。そんなキョンが高校入学の日に容姿端麗の女子生徒・涼宮ハルヒと出会う。ハルヒはクラス全員の前で、宇宙人や未来人、異世界人、超能力者がいる場合は自分のもとに来るように促した。その言葉に、周囲の人々は驚きを禁じ得なかった。その後もハルヒは止まることなく奇行を繰り返し、日々髪型を変えたり、男子がいる教室で平気で着替えたり、あらゆる部活に一時的に入部しながらも最終的にはどこにも所属しないという怪しい行動を続けるのだった。
SOS団!!
ある日、キョンは話しかけるつもりは毛頭なかったのだが、思わずハルヒに声をかけてしまった。「曜日ごとに髪型を変えるのは、宇宙人対策か?」彼は無視されるか、あるいはバッサリと会話を切られると思っていたが、意外なことに、ハルヒとの会話は続いたのである。「私、あんたとどこかで会ったことある?ずっと前に」そんな言葉がきっかけで、二人はホームルーム前におしゃべりすることが日常となっていった。キョンは興味深げに尋ねる。「どこかおもしろいクラブはあったのか?」しかし、ハルヒは悔しさを込めて「全然なかったのよ」と答えた。ハルヒは、日常に飽き飽きしていた。彼女は信じていたのだ。「人間はあるものに満足せざるを得ない存在であり、だからこそ新たな発見や発明が生まれ、文明が発展してきたのだ」と。キョンは軽い気持ちで返答したが、その一言がハルヒに大きな気づきを与えることになった。「もしも存在しないものなら、自ら作り出せばいいのよ」とハルヒは心に決めたのである。
ハルヒはキョンを引き込み、「SOS団」という特異な部活を立ち上げる。この部活の目的は、世界を大いに盛り上げるために、涼宮ハルヒ自身が結成したものであり、宇宙人や未来人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶことだった。
パソコン強奪
SOS団の発足後、ハルヒは部室の整備を考え始める。何か足りないものはないかと考えた彼女は、やはりパソコンが必要だと判断。そこで、どこかで手に入れる方法を模索することになる。結果、コンピュータ研究部に足を運べば解決するかもしれないと考えたハルヒは、キョンとミクルを連れてコンピュータ研究部へ向かう。そして彼女は突然、部長の手を掴み、ミクルの側にいた彼女の胸に手を当てる。そして、一瞬を切り取るようにして写真を撮影し、「この写真を校内にばらまかれたくなければ、写真を渡しなさい」と、ハルヒは脅迫めいた言葉でパソコンを要求する。当然ながら、コンピ研の部長は逆らうことができず、抵抗なくパソコン一式を差し出すのだった。
メンバーの秘密
驚くことに、SOS団には、キョン以外に朝比奈みくる(未来人)、長門有希(宇宙人)、古泉一樹(超能力者)が所属する。しかし、ハルヒ自身は彼らが特殊な能力を持っていることを理解していない。彼らが実はハルヒ自身に引き寄せられた存在であることに、ハルヒは気づく由もなかった。ハルヒは自覚のないまま、解析不可能な超常現象を引き起こす存在であった。彼女の周りでは常に不可解な出来事が起きていた。
朝比奈、長門、古泉はハルヒのことを彼女に悟られずに観察するために派遣されてきた存在だった。彼ら自身もまた、ハルヒを観測対象として見ていたのである。最初はキョンも彼らの話を虚偽だと思っていたが、やがて実際に超常現象に巻き込まれ、命の危険にさらされることで、彼らの言葉を信じざるを得なくなった。
朝倉涼子の暴走
ある日の夕方、キョンは誰もいないはずの教室に足を踏み入れると、クラスのマドンナである朝倉涼子がひとり立っていた。彼女はキョンに対し、ハルヒのことをどう思うのか尋ねた。キョンはもはや朝倉もハルヒとの関連性に飽き飽きしていたが、朝倉の口から飛び出した言葉によって、事態は一変した。「あなたを殺して、涼宮ハルヒの出方をみる」と言いながら、朝倉はナイフを取り出し、キョンに向けてその刃を突き立ててきた。実は、朝倉も長門と同じく宇宙人の存在なのだった。
長門と朝倉は、情報統合思念体によって創造された、有機生命体と接触するためのヒューマノイド・インターフェースである。彼らはハルヒを観察する使命を帯び、長門が主役で朝倉はサポート役として派遣されていた。しかし、ハルヒ自身はこの事実を知る由もなく、いつも通りの日常を過ごしていた。長門は忠実に命令に従い、ハルヒの行動を監視していたが、朝倉は結果を出し、上司に自らの能力を証明したいと焦りを感じていた。しかし、ハルヒに大きな変化は見られず、朝倉は追い詰められた心情から、ハルヒにとって重要な存在であるキョンを犠牲にする行為に踏み切ったのだ。
キョンが命を危険にさらされる危機に陥った時、救いの手は長門から差し伸べられた。朝倉は長門との戦いに敗れ、姿を消したが、後に彼女はさまざまな立場で再び登場することとなる。この出来事を通じて、キョンは自分が異常な事件に巻き込まれていることを真剣に受け止めるようになったのである。
閉鎖空間
ある日、ハルヒは謎の不機嫌に包まれていた。キョンが教室で声をかけても、彼女の反応は冷たく遠いものだった。その後、SOS団の部室にはキョンとミクルが楽しそうにパソコンの前でじゃれていたが、その瞬間、ハルヒが部室に入ってきた。彼女はその光景を目にした瞬間、一層不機嫌になってしまった。
そして夜、キョンは普段通りに家に帰り、眠りについたはずだった。しかし、意識を取り戻すとそこは学校の中だった。驚きと共に、ハルヒも同じ場所にいた。彼らは周囲を見渡すが、学校であることはわかるものの、何かが違っていて不気味さが漂っていた。二人は困惑しながらも、とりあえず部室に向かうことにした。部室で待つ間、キョンは古泉から超能力を駆使してやってきた。古泉は深刻な表情で告げた。「我々の恐れていた事態がついに始まってしまったわけです…」要するに、ハルヒは現実の世界を捨て、閉ざされた空間でキョンと共に生きる道を選んだのだ。二人は混乱と不安の中、新たな現実に立ち向かわねばならないのである。
ハルヒは最初は閉鎖空間や神人の存在に対して恐怖の念を抱いていた。しかし、時間の経過と共に、閉鎖空間が彼女にとって刺激的な魅力を持つ場となり、その世界で生きていくことが悪くないと感じるようになった。キョンはハルヒの意思が変わらなければ元の世界は消滅する危険性があると懸念し、彼女を元の世界に戻すために説得を試みる。しかし、ハルヒは頑なに元の世界に戻ろうとせず、その思いに抗うように見えた。そんな中、キョンは思い切った行動に出る。彼は突然ハルヒにキスをするのだ。その衝撃的な一瞬が、ハルヒの心にショック療法として作用したのか、次の瞬間には彼らは元の世界に戻っていた。以降、二人は学校に通う日常を取り戻し、ハルヒは自分が閉鎖空間にいたことを悪夢だと思い込んでいた。彼女はその出来事を現実のものではなく、夢の中で経験した出来事だと信じていたのである。
感想と考察
とても面白いです。ハルヒの正体がわかる“憂鬱”は、結局のところ、SOS団の設定紹介になっているような気がします。設定の話が永遠続くというのは、かなりつまらないものですが、“憂鬱”に関しては、途中で飽きてしまうということはないと思います。
キョンは何者かという問題について、異世界人説があるようですが、私はハルヒの恋人ではないかなと思います。恋人という言葉の選択は高校生らしくない気もしますが、言い換えるならば、信頼できる人みたいな感じだと思います。ハルヒは信頼できる異性を求め、それがキョンになったということなのですが、これは異世界人であることを否定するわけではありません。
まとめ
アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」について、あらすじ、感想、考察などをまとめました。